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「なんだ。またご立腹か」
優一はスポーツドリンクのプルを開けた。
「お前最近どうした?」
「別に」
操は自分の弁当をつつく。
味わうというよりは咀嚼する。不機嫌なのは明らかだ。
「あ、あの、桐生さん。どうしたんですか?」
「だから別にって言ってるでしょ?」
操は千歳を睨み付けた。
その視線は氷よりも冷徹だ。
「ひっ……」
千歳は竦み上がる。
本人としては操と仲良くしたかったのだが、融解するどころかよけいに氷結してしまったようだ。
「やれやれ。モテる男はつらいねぇ」
稔は目を細めて優一を見る。
「わけが分からんことを……」
優一は呆れた目で稔を見る。
「はぁー……。この朴念仁が」
稔は諦めてこめかみに指を当てた。
「おーす。塚越と立花は居るかー?」
明子教諭が入ってきたのはそんな最中だった。
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