地に潜む者

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(なん……だ……?) とてつもない大きなエーテルを感じる。人間のものとは比較にならない。 エーテルを感じて鳥肌を立てるなど初めての体験だった。 (……土?) 地面全体にエーテルが溢れている。純度も申し分ない。 不吉な予感がした。 「どうしたの?」 操が心配そうに訊いてきた。 「……気を付けろ。地面に何か居る」 「えっ?」 千歳が慌てて立ち上がる。 「何かってなんだよ?」 稔は背中をさすりながら歩いてきた。 「分からない。ただ、とてつもないエーテルを秘めた……!!」 その『何か』が移動している。地中を泳ぐように、とてつもない速さで。 『何か』は、こちらに向かって一直線に進んでいる。 「避けろっ!!」 優一が叫ぶのと同時に地面から手が飛び出した。 グレーで武骨、鋭角で形成されたそれは、どことなく岩を連想させる。 その手はまるで獲物を求めるようにのたうつ。 「きゃあっ!!」 「何だよこれはっ!!」 驚きながらも、操と稔は何とか後ろに飛び退く。 しかし千歳だけは、逃げ遅れた。 「きゃあああああ!!」 逃げ遅れた千歳は、その手に捕まってしまった。 「離してええええっ!!」 千歳はその手から逃れようと藻掻くが、胴体をがっちりと掴んだそれはびくともしない。 「立花さん!」 「待て!」 駆け寄ろうとする優一を稔が制止する。 「離せ!立花さんが!」 「落ち着け!まだ何か来るぞ!」 地面が揺れ始め、土がひび割れて盛り上がる。 規模からするとその大きさは計り知れない。 『はーっはっはっはっ!!』 地の底から響くような笑い声。聞く者全てを不安にさせる声だった。 「な、なにが来るっていうの……?」 『俺が来るっていうんだよおおおおお!!』 操の声に反応するように、地面を吹き飛ばし、轟音をとどろかせ、『何か』が飛び出してきた。
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