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「なんだこいつは……」
稔が唖然として見上げる。
ビルの2階ほどはあろうかという高さを誇り、鋭角に刻まれた岩、あるいは土の塊の体。人間でいう肘、膝、足首、手首といった箇所に関節らしきものがあるが、それぞれのブロックは一つの塊で形成されている。
見下ろす顔には、口と鼻はない。薄黄色の光が二つあるばかり。恐らく目なのだろう。
『見つけたぞ!無の能力者!』
その二つの目が、優一の姿を捉えた。
「……誰だお前は?」
優一は険しい表情で睨みかえす。
『俺が誰か、だと?』
二つの光が弓なりに曲がる。まるで優一のことを嘲笑しているようだった。
『俺の名はノーム!誇り高き土の精霊だあああああ!!』
その声は、木々を震わせ、大地を揺らす。
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