地に潜む者

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散策路を外れて斜面を登る。整備などされていない悪路。鬱蒼と生い茂る木。暗くなる空。 優一のナビがなければ危うく迷ってしまうところだった。 「ここだな」 斜面が平らになったところで優一は歩みを止めた。 「この中からエーテルの反応がある」 彼らの目の前にあるのは、大口を開けた横穴。数メートルも進めば視界が無くなってしまいそうなほど暗い。 「裏山に洞窟があったとはな……」 岩肌が剥き出しの入り口を、稔はまじまじと見つめている。 「立花さんは無事なのか?」 「……多分」 優一は眉をひそめた。 「ノームのエーテルが強すぎて立花さんのエーテルが分からない。狙いが俺だとすれば、手は出さないはずだ」 「そうか」 稔は拳を手のひらに打ちつけた。 「だったら早く行こう。手遅れになる前に」 「あぁ。そうだな」 優一は大きく頷いた。 「……ねぇ」 二人の出鼻を挫くような不安気な声。 上げたのは操の他に居ない。 「ホントに行くの?」 明らかに入ることを嫌っている。恐怖を感じるのは皆同じ。しかしそれでも自分を鼓舞して突入しようとしているのだ。 いつもの操とは何か違う。 「……お前、何言ってるんだ?」 優一は違和感を覚えた。 「立花さんは俺たちとは比べものにならないくらいの恐さを味わっている。早く助けてあげないといけないだろ?」 『立花さん』 やはりこの言葉は禁句だったらしい。 「なによ……立花さん、立花さんて……」 操の肩がわなわなと震え始めた。 「そんなに立花さんが大事だったら、あんた一人で行けばいいじゃないっ!!」                
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