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『そうさ。俺はエーテルを使って土を自在に操ることが出来るんだ』
ゲタゲタと下品に笑うノーム。
『そのゴーレムでてめぇをボコボコにしてやるからなぁ!』
ノームが手を振り上げる。
それを合図に、ゴーレムが跳躍した。とても土で出来ているとは思えない速さだ。
「ちぃ!つくづく性根の腐った野郎だ!」
毒づきながらも優一は右の一太刀を体を左に捌いて躱す。大きく攻撃を外したゴーレムだがただちに体勢を立て直し、今度は左手の剣で横薙ぎを繰り出した。
「危ねっ!」
しかし、それでも優一を捉えることは出来ない。優一はバックステップでゴーレムと距離を取った。
(剣術の心得は皆無だな……)
がむしゃらに振っているとしか思えない。速さはなかなかあるが、太刀は素直だ。軌道を読むのは容易い。
どうやら武器を扱う能力はあっても、考える能力はないらしい。
(だったら……!)
再びゴーレムが突っ込んでくる。今度は左右の剣をクロスさせ、スピードに任せた突きの構え。斬撃よりも躱すのは簡単だ。
優一はその場で背中を丸めた。
「はっ!」
突きが頭上を通り過ぎる。それでもゴーレムの動きは止まらない。
ぶつかる直前、優一はゴーレムの股下に腕を通し、自分の背中に乗せるようにして投げ飛ばした。
もともとの勢いも相まって、ゴーレムは空中で一回転して背中から地面に激突した。
「はぁっ!」
優一はその顔面を思い切り踏み付けて粉砕する。それと同時に、ゴーレムの体内にあるエーテルを吸収する。
ゴーレムは文字通り土に還った。
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