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「これがノームのエーテルか……」
量はせいぜい魔法が一回唱えられる程度だろう。常人のそれと比べても明らかに劣る。
しかし、この程度のエーテルで土を操って人形を作り動かすのだ。精霊の力は、やはり侮ってはならない。
『ほぅ。なかなかやるみてぇだな』
ノームは腕組みをして賞賛の声を漏らした。
『だが、そうでなくっちゃあ面白くねぇ。次はどうかな?』
ノームの足元から二体のゴーレムが生み出される。
今度は柱ではない。最初から人型をしている。
「なんでお前自ら来ないんだよ?」
優一はズボンのポケットに手を突っ込みながら訊いた。
『俺の役目はトドメだよ。てめぇが藻掻き、苦しみ、その姿を見届けた後でゆっくりと叩き潰してやる』
ノームは目を細める。まるで恍惚に浸っているような表情だった。
「精霊にもサディストってのは居るんだな」
優一は侮蔑を込めた視線をノームに向けた。
「少なくとも、俺はそんな趣味はしてないんでね。お前の趣向に付き合ってる暇はない」
『ふん。そう言っていられるのも今のうちだ。ま、せいぜい頑張れや』
二体のゴーレムがゆっくりと動きだす。
第二ラウンドの幕開けだ。
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