地に潜む者②

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すっかり暗くなった斜面を下る。頼りになるのは月明かりだけ。それでも足元はよく見えない。 しかし、構わず操は斜面を下る。 (何なのよ!) 確かに千歳は友達だ。それは分かっている。分かっているが、それでも割り切れない気持ちがあった。 優一が必死になっている姿を見ていると、悔しくて切なかった。 (何なのよ) 頭が冷えてきたのか、冷静な判断が出来るようになった。 よくよく考えてみれば、友達のピンチに助けに向かうのは当然のこと。優一は当然のことをしているだけなのだ。 でも、それでも――。 「きゃっ!!」 足を派手に滑らせた。足元がよく見えない上に悪路だ。操は後ろにひっくり返った。 「……」 今になって罪悪感が込み上げてきた。自分はなんて馬鹿なのか。一時の感情に任せてひどいことを言ってしまった。 優一がどんな人間なのかは、自分が一番よく知っていたはずなのに。 「何なのよ……」 操は泣きそうな顔で月を見た。 今更戻るなんてことは出来ない。優一に合わせる顔がない。 そして何よりも、優一に怒られるのが怖かった。
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