地に潜む者②

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(おかしい……) 確かにごく少量のエーテルでゴーレムを操る能力はすごい。しかし、所詮はそれだけ。 仮にもノームは土の精霊。ならばもっと強い攻撃をしてきてもいいはずだ。 優一は不信感を募らせていた。 「はっ!」 ゴーレムの足を蹴飛ばし、粉々に粉砕する。エーテルを吸収することも忘れない。 一体どれくらいのゴーレムを倒してきたのか。土の塊は無数にあった。 『ほぅ。けっこうしぶといんだなぁ』 ニヤニヤと笑っている。声だけで優一はそう判断した。 ノームの態度は、よけいに優一の不信感を煽るものだった。 「……おい」 優一は驚くほど低い声でノームに問う。 「お前、何か隠してないか?」 『おっ、さすがに鋭いなぁ』 ノームは腕組みを解いた。 『ま、まずはてめぇの体の心配をするこったなぁ』 しかし、その口調にはやはり含みがある。 「は?何を言って――」 ドクン 「ぐっ!!」 突然、胸に痛みが走った。 心臓を鷲掴みにされているような感覚だ。 優一は胸を押さえて膝をついた。 「か……は……」 痛みだけではない。 息苦しさ、動悸、倦怠感。 様々な症状が優一を襲う。 「お前……何を……」 『ふん。やっと効いてきたか』 ノームはまるで種明かしを楽しむように語り始める。
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