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『土の中ってなぁけっこう危険なんだぜぇ?幸いこの山にはマンドラゴラが沢山自生してるみたいだからなぁ』
マンドラゴラは薬草として利用されているが、本来は毒性の強い有毒植物。一本もあれば成人を一人殺害出来るだけの毒性を秘めている。
『そいつをちょっと拝借させてもらったのさ。エーテルに少しずつ乗せて、てめぇの体内に入るように仕向けさせてもらったよ。だが安心しろ。まだ致死量には達してないからなぁ!』
「なるほど……。さすがは土の精霊だ……」
まさか植物の毒をエーテルに添付してくるとは。優一には予想がつかなかった。
毒のあるエーテルを吸収させ、体内から痛め付ける。それがノームの魂胆だったのだ。
「ぐぅっ!!」
致死量に達していないとはいえ、死んだ方がマシというくらいの苦しさが優一を襲う。
『さぁて。そろそろ仕上げといこうか』
ノームは拳を握り締める。
『一撃で仕留めるつもりはねぇぜ?腕に足、全身の骨を粉砕して、最後に頭を握り潰してやるぜ!』
「……ふっ」
窮地に立たされながらも、優一は力強く笑ってみせた。
「果たしてそれが……出来るかな……?」
『強がりは虚しいだけだぜ?』
「強がりじゃ……ないさ……」
優一は感じていた。
こちらに向かってきているエーテルを。
それは、学園でも一、二を争うほど強力なもの。自分が進級して初めて喰らったものだ。やはり来てくれたか。優一は嬉しく思った。
ついでにもう一つエーテルがついてきているが、あえて語るまい。
「さぁ……。援軍の……到着だ……」
「優一っ!!」
凛と透き通った声が響き渡った。
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