地に潜む者②

13/35
前へ
/396ページ
次へ
「くぅ……!」 千歳は悔しさを感じていた。 目の前で友達が戦っているのに、自分は加勢することが出来ない。 特に優一は命の危機に瀕している。致死量に至っていないとは言え、何の処置もせずに放っておくのはまずい。 (これさえ無ければ……) 両手首両足首を土で塗り固められている。ノームが自分を連れてきて真っ先にやったのがこれだ。これを何とかしなければ、助けには行けない。 「この!この!」 動かそうにもびくともしない。どうやら相当硬く固められているようだ。 ノームの力を持ってすれば、土も鋼鉄に変化するのかも知れない。 (土……?) 千歳は気付いた。 いくら鋼鉄のように硬いとは言っても、相手はもともと土だ。 鍬を入れれば耕せる。 水を加えればドロドロに溶ける。 そんな脆いものなのだ。 (だったら……) 自分の魔法を使えば脱出できるかも知れない。 千歳は目を瞑り、エーテルに力を込めた。
/396ページ

最初のコメントを投稿しよう!

90796人が本棚に入れています
本棚に追加