地に潜む者②

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『ほほぅ。なかなか善戦してるなぁ』 ゴーレムたちの後ろでふんぞり返っているノームが、面白そうに声を上げた。 『いつまで持つかねぇ。ま、エーテルが尽きた頃に殺してやるよ』 「馬鹿にしてっ!」 しかし、エーテルに限界がある自分たちと、無限に近いエーテルを所持するノーム。圧倒的に不利なのはこちらだ。 (何とかしなきゃ……) そう思っても名案は浮かばない。 もはや万事休すか……。 「お二方!後ろに下がって!!」 叫び声と同時に目の前を水流が通り過ぎる。 「きゃあっ!」 「うおっ!」 声のした方向を確認する暇もなく、二人は後ろに下がった。 「な、なんだこれは……」 稔は固まった表情で目の前の光景を見ている。 滝を横にしてそのままの勢いで流したら、恐らくこのようになるのだろう。 水のカーテン。 そう呼んだ方がしっくりくる。 見上げる程高い激流が、二人の前を通り過ぎた。 「す、すごい……」 目の前の光景は、まるで嵐が過ぎ去った後のようだった。 地面は水流に合わせて抉られ、大きな半円形を作っている。 そして何よりも、ゴーレムの数が激減していた。餌に集る蟻のように大群を成していたゴーレムの数が、今は数える程しか居ない。恐らくさっきの激流に飲まれたのだろう。 「……」 さらに不思議なことに、水溜まりのようなものが一つも出来ていなかった。 あれほどの水量だ。辺り一面が水浸しになってもおかしくない。しかし、その水は跡形もなく消滅していた。 「……魔法」 そう結論づけた操は、改めて声のした方を向く。 「間に合いましたね」 そこには、立花千歳が立っていた。
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