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『て、てめぇ!どうやって逃げ出しやがった!?』
人間の力では絶対に逃げられないくらいに土を固めた。それが女、しかも少女に破られたのだ。
さすがのノームも驚きを隠せないようだった。
「私の魔法で溶かしました」
千歳はゆっくりとこちらに向かって歩き出す。
「私のエーテルは『水』です。どんなに硬くても所詮は土。水には溶けてしまいます」
『こっちに来るんじゃねぇ!』
ノームは残りのゴーレムをけしかける。
ゴーレムたちは体を千歳に向けると、両手の剣を構えて駆け出した。
「あなた達では、私は倒せない」
千歳の両手から水がほとばしる。その水は千歳の手のひらから生えたような状態のまま、ロープのように細長く伸びた。
「はっ!」
千歳は両手を交差させるように振る。水のロープは鞭のようにしなり、迫ってくるゴーレムたちに牙を向く。
ゴーレムたちの喉元を的確に捉え、その首を全て吹き飛ばしたのだ。
かくして首を失ったゴーレムたちは、駆ける勢いをそのままに、地面に突っ込むような形で崩れ落ちた。
「ゴーレムも所詮は土。水の前には無力です」
千歳はゴーレムの残骸の中をさらに進み、ノームの足元に迫る。
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