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『て、てめぇ!!』
恐れを抱いたノームは千歳に向かって拳を振り下ろした。
喰らえば叩き潰されて命は無い。しかし、千歳は避けようとしなかった。
「無駄です」
かわりに万歳をするように両手を上げる。それと同時に、巨大な水の玉が生み出された。
震えるように揺れるそれは、スライムやゼリーと言ったものを彷彿とさせる。
『死ねやああああああっ!!』
その水の中に振り下ろされた拳が突入した。
『ぎゃああああああああああっ!!』
ノームの悲鳴が響き渡る。
どぷん、と音を立てて水から引き抜かれた腕は、三分の一ほどが無くなっていた。かわりに水の玉が茶色く染まる。
ノームの腕が、水に溶けたのだ。
『腕があああああ!俺の腕がああああああっ!!』
ノームは溶けた腕を押さえて後ずさる。
「あなたも土。水には敵いません」
千歳は水の玉を投げる。
すると、水の玉は空中で跡形もなく消滅した。
「しかし、あなたに用はない。私には、やるべきことがあるのです」
千歳はそのまま優一たちの方へ歩を進めた。
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