地に潜む者②

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「待ってて下さい。すぐに治します」 千歳は握った手を両手で柔らかく包み込んだ。 「な、なにを――」 「喋らないで下さい。体に障ります」 優一の問いに答えることなく、千歳は念じるように目を瞑った。 (ん……?) 優一は体の変調を感じていた。 体内のエーテルが活性化している。優一が持っているエーテルは、ノームがもたらした毒付きのもの。それが活性化しようものなら、体中に回った毒まで活性化してしまう。 しかし、そのような感じは全くなかった。むしろその逆だ。 体に進入した細菌を白血球が攻撃するように、エーテルが毒に攻撃しているようだった。 冷たかった手から温かさを感じる。どうやら千歳が何かしているらしい。 気付けば苦しさはすっかり無くなり、呼吸も落ち着いていた。 「あれ?顔色が良くなってる?」 操の言うとおり、顔にも血の気が戻っていた。 「……毒はすっかり無くなりました。これでもう大丈夫」 千歳は優一の手を離した。 「ありがとう」 優一は握られていた手をまじまじと見つめる。 「エーテルに何かされたのは初めてだ。もしかして、魔法医療?」 「はい」 千歳は穏やかに微笑んだ。 「傷を癒すだけが魔法医療ではありません。ちょっと応用すれば、体内の異常だって治せるんです」                
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