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『まずはてめぇか!ぶっ殺してやる!』
「まぁ落ち着け。頭に血が上ってたら冷静な判断が出来ないぞ?」
相対しているのは土の精霊。そのプレッシャーは凄まじいはずだ。
しかし、優一は冷静な風を装っている。
それがノームの神経を逆撫でた。
『すかしてんじゃねぇぞ!!』
ノームは地面に向かって残っている片腕を振り下ろした。
一拍の間を置いて、打ち付けた部分が盛り上がった。
それはまるで連鎖反応するように伸び、優一に向かって押し寄せる。
土津波。
地術界でそう称される魔法だ。
しかし土津波が優一に届くことはなかった。届く寸前で粉々に粉砕されたのだ。
「なるほど。これがノームのエーテルか」
優一は呟くように言うと、周囲の風を取り払った。
『な!?』
ノームは驚愕した。
たかが人間ごときに攻撃を防がれた。自分は土の精霊。人間ごとぎが遠く及ばない高尚な存在のはず。
それが防がれるなど、あってはならないことだと。
「なに驚いてやがる!」
一喝するように叫ぶと、優一は風を起こしてそれに乗った。
「俺が魔法を吸収することぐらい知ってるだろ!」
勢いをそのままに、ノームの胴体に飛び蹴りをたたき込んだ。
ミシミシと音を立てて足がめり込む。
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