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『な、にぃ!?』
攻撃を受けた痛みも忘れて、ノームはさらに驚愕した。
攻撃を決められた。
たかが人間ごときに攻撃を決められた。
『そんなこと……あるはずがねぇ!!』
不安を払拭するように拳を振るう。
その拳は、まだ胴に留まっている優一へと迫る。
「無駄ぁ!」
しかし、優一は逃げようとしない。
逆に攻撃を受けとめるように両手を突き出した。
「自分のエーテル……」
その両手の中でエーテルを展開させる。
属性は水。
四属性の中では一番穏やかなイメージを受けるエーテル。
しかし、水は時として牙を剥く。それは雨水を湛えた濁流のように。
「その身に受けてみろ!!」
練ったエーテルを一気に解き放つ。
雨水を湛えた濁流など凌駕する。大理石にすら穴が開く。
それほどの水流が優一の両手から撃ち出された。
『ぐぅおおおおおおお!!』
その水の前では、土などあまりにも無力。
ノームの拳はあっという間に削り取られた。
『馬鹿な!?たかが人間に!!』
「その傲りが命取りってんだよ」
水流の勢いで後退した優一は、着地と同時に力強い笑みを浮かべた。
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