地に潜む者②

23/35
前へ
/396ページ
次へ
『な、にぃ!?』 攻撃を受けた痛みも忘れて、ノームはさらに驚愕した。 攻撃を決められた。 たかが人間ごときに攻撃を決められた。 『そんなこと……あるはずがねぇ!!』 不安を払拭するように拳を振るう。 その拳は、まだ胴に留まっている優一へと迫る。 「無駄ぁ!」 しかし、優一は逃げようとしない。 逆に攻撃を受けとめるように両手を突き出した。 「自分のエーテル……」 その両手の中でエーテルを展開させる。 属性は水。 四属性の中では一番穏やかなイメージを受けるエーテル。 しかし、水は時として牙を剥く。それは雨水を湛えた濁流のように。 「その身に受けてみろ!!」 練ったエーテルを一気に解き放つ。 雨水を湛えた濁流など凌駕する。大理石にすら穴が開く。 それほどの水流が優一の両手から撃ち出された。 『ぐぅおおおおおおお!!』 その水の前では、土などあまりにも無力。 ノームの拳はあっという間に削り取られた。 『馬鹿な!?たかが人間に!!』 「その傲りが命取りってんだよ」 水流の勢いで後退した優一は、着地と同時に力強い笑みを浮かべた。
/396ページ

最初のコメントを投稿しよう!

90797人が本棚に入れています
本棚に追加