地に潜む者②

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「やっほ~。無事……ではないようだな」 「あったり前でしょうがっ!!」 怒鳴り散らす操。 頭から足の先までぐっしょりと濡れている。 「うへぇ。パンツまで救い用が無くなってるぜ……」 「っくしゅん!!」 他の二人も同じように濡れていた。 「あんたは手加減てものを知らないの!?」 「冗談。手加減なんてしてたらこっちが死ぬ」 困ったお嬢さんだ、とでも言いたそうに、優一は肩をすくめた。 「あんたねぇ……」 操はこめかみを押さえる。 まだまだ言いたいことは沢山あったが、優一の腑抜けた(ように操の目には映った)顔を見ていると、その気も削がれてしまった。 「……まぁいいわ」 やり場のない怒りをため息に乗せて吐き出し、再度操は言う。 「で、ちゃんと始末したんでしょうね?」 「あぁ。綺麗さっぱり消滅したよ」 「……そう」 まだ噴き出している水を見る。 月明かりに照らされた噴水はどことなく神秘的で、見ていると何だか心が洗われるような気がした。 (まぁ、一応合格か) 怒りの気持ちまで洗われた操は、優一をそう判定した。 「ところで優一よ」 シャツの裾を絞りながら、稔は噴水を指差した。 「あれ、どうやって止めるんだ?」 彼が心配するのも無理はない。 先程の攻撃と今までの噴水によって、このフロアは水浸しとなっている。地面に吸収しきれない水が地上に溜り、雨上がりの校庭のような情景を作り出していた。 このまま水が止まらなければ、やがては水がこの空間を満たしてしまいそうだった。 「あぁ。それ無理」 しかし優一はそんな心配事をしてる風もなく、重大事項をさらりと言ってのけた。 「さっきの戦いでエーテルはスッカラカン。絞っても逆さにしても出てこないぞ」 「なっ……」 稔は絶句するしかなかった。
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