地に潜む者②

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「な、なにがそういうことなのよ!!」 「またまたぁ。分かってるくせにぃ」 千歳が操の脇腹をつつく。 まるで子猫のように操にじゃれついている。 「素直じゃないですねぇ。桐生さんは」 「もう!何なのよ!」 操は身をよじって千歳を引き剥がした。 「さっきからおかしいわよあなた!」 明らかに動揺しているのが分かる。よく分からないが、汗もかいている。 千歳に対して恐怖心のようなものも覚えていた。 「いいえ。おかしくなんかないですよ」 操が動揺しているのは分かっているだろう。 それでも千歳は、穏やかに笑って言う。 「私も『同じ』ですから」 「!!」 全てを見透かしているような千歳の発言に、操は衝撃を受けた。 「だから、桐生さんの気持ちは分かります。私が桐生さんの立場でも、多分同じことをしたと思います」 操を庇っているのではない。かと言って、責めている訳でもない。 自分の気持ちを正直に言っているのだ。 「だから、今回のことはおあいこにしましょう?」 しかしきっぱりと宣言する。 「そのかわり、これからは正々堂々と、真っ向から勝負しましょう。どちらが勝っても恨みっこなしですよ?」
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