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「な、なにがそういうことなのよ!!」
「またまたぁ。分かってるくせにぃ」
千歳が操の脇腹をつつく。
まるで子猫のように操にじゃれついている。
「素直じゃないですねぇ。桐生さんは」
「もう!何なのよ!」
操は身をよじって千歳を引き剥がした。
「さっきからおかしいわよあなた!」
明らかに動揺しているのが分かる。よく分からないが、汗もかいている。
千歳に対して恐怖心のようなものも覚えていた。
「いいえ。おかしくなんかないですよ」
操が動揺しているのは分かっているだろう。
それでも千歳は、穏やかに笑って言う。
「私も『同じ』ですから」
「!!」
全てを見透かしているような千歳の発言に、操は衝撃を受けた。
「だから、桐生さんの気持ちは分かります。私が桐生さんの立場でも、多分同じことをしたと思います」
操を庇っているのではない。かと言って、責めている訳でもない。
自分の気持ちを正直に言っているのだ。
「だから、今回のことはおあいこにしましょう?」
しかしきっぱりと宣言する。
「そのかわり、これからは正々堂々と、真っ向から勝負しましょう。どちらが勝っても恨みっこなしですよ?」
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