地に潜む者②

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「わ、わけ分かんないわっ!」 やっとの思いで反論した。 この少女は、一体何処まで知っているのか。 やはり全てを見透かしているのか。 自分の想いを、全部知ってしまったのか。 しかし、動揺しているということは、的を射ているのだろう。 「あなた、やっぱりおかしいわよ!!」 だが、認めたくはなかった。 認めてしまったら、何だか負けてしまうような気がしたから。 「ふふっ。まぁいいでしょう」 千歳はクスクスと笑う。 「では、私からの勝手な宣戦布告ということで。よろしくお願いしますね」 すっと差し伸べられた、小さな手。 それが何だか大きく感じられた。 「……」 操は何も言わずに、それを握り返す。 表情は複雑なままだが。 「おーおー。何だかんだで進展してるじゃないですか」 少し後方で、稔は我が子の成長を見守る父のような表情をしていた。 「くー……」 方や優一は、稔の隣で眠りに入っている。無防備すぎる寝顔だ。 (やれやれ。襲われても知らねぇからな?) 前の二人に見せたら一体どんな反応をするだろう。 試してみたい気持ちがあったが、やめておくことにた。 一応親友を名乗る者としては、それぐらいの気遣いは持っておきたい。 「なんで俺にはああいう娘が来ないかね?」 稔の呟きは誰にも聞こえず、風に溶けて流される。 そろそろ校庭が見えてくる頃だ。
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