真夏日の呼び出し

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「で、この子が生まれたのは、旦那が大学院を卒業して、大学の講師になって一年目くらいだったかな?」 明子は写真に目を落とした。 「この写真は、私たち家族が初めて撮った記念写真さ」 そして、写真立てのガラスをいとおしそうに撫でた。 「錬研に持ち込んで何処へやったものかと思っていたが……。見つかって良かった」 その顔は、愛情溢れる母の顔。包容力があって優しく温かい。 いつも優一たちに見せるような凶悪な顔ではなかった。 「なるほどねぇ。結局は、先生も人の子だったわけへぶっ!!」 優一の顔面に土のつぶてが直撃した。 「お前は私のことを人非人だとでも思ってるのか?」 明子が手を前にかざしたまま言った。 土つぶてを飛ばしたのは彼女で間違いない。 「ぺっぺっ!相変わらずのお手並みで……」 優一は顔に着いた土をぬぐい、口に入った砂利を吐き出した。 「先生って土の魔法を使えるんですね」 興味津々の操。 「まぁな。錬金学なんてのをやってるぐらいだし、な」 明子は跳ねるように立ち上がった。 「何だか写真を見たら家に帰りたくなった。今日は終わりだ」
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