平凡な日常

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「えーっとぉ……」 鉛筆を口にくわえ、問題集とにらめっ子をしている千歳。 普段はおしとやかに振る舞っている彼女だが、私生活では意外とラフらしい。 「あ、ここをこうすればいいのか」 さらに珍しいことに、今日の千歳は眼鏡を掛けていた。 最近視力が低下してきた彼女。 もしかしたら、眼鏡の掛け通しになる可能性もある。 「よし!終わり!」 鉛筆を放るように机に投げ、千歳は大きく伸びをした。 「数学の宿題はこれで終わりだっけ……」 ちなみに、夏休みが始まってからまだ二週間も経っていない。どうやら千歳は始めのうちに一気に宿題を片付けてしまうタイプらしい。 「ふう。今日もいい天気」 窓の外には雲一つない青空が広がっている。 (ちょっとお出かけでもしようかな……) 外が一体どんな地獄になっているのか、彼女は知らない。
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