平凡な日常

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外に出たのは何日ぶりだろうか。 白状してしまうと、夏休みに入ってからほとんど外出をしていない。宿題をやったり、ごろごろしたり、そんな生活サイクルだった。 (帽子くらい被ってくればよかったかな……) それ故、千歳は直射日光を久しぶりに浴び、その強さに若干驚いていた。 「地球温暖化の影響なのかな?」 クーラーを効かせることで地球温暖化に貢献していることに、千歳は気が付いていない。 (みんなは大丈夫かな?) 夏休みに入ってからいつものメンバーとは連絡を取っていない。こちらから連絡をすることもなければあちらから来ることもないという、ある意味疎遠な関係になっていた。 この暑さで体調など崩していないだろうか。 杞憂かも知れないが、なんだか心配になってきた。 「……」 ふと、優一の姿が頭に浮かんだ。 勉強机に突っ伏し、うちわなど扇ぎながら、『暑い……溶ける……』などと言っている姿が。 「……」 自然と笑みが込み上げてきたが、同時に気恥ずかしさも込み上げてきた。 自分は一体なにを考えているのか。 「早く行こっ」 千歳は少し歩調を速めた。
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