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「兄ちゃん、焼そばどうだい?」 軒先で声を掛けられた。 見るとそこには気の良さそうな壮年の男性。鉄板の上にはよく焼けたそば。ソースの匂いが食欲をそそる。 ひと勝負する前に腹拵えするのもいいだろう。 一つ買うことにした。 「まいどありぃ!」 男性が手際よく焼そばをパックする。 「あいよ!」 代金を手渡し、焼そばを受け取った。 「今日は縁日。楽しまなきゃダメだぜ!」 最後まで気さくな人だった。 屋台を離れて喧騒に紛れる。 そろそろ花火が始まる時間。それを眺めながら食べるのもいいだろう。 夜空には満月。 絶好のスポットライトだ。
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