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「俺は昔から虐げられてきてなぁ。お前も分かるだろう?常人と違う人間が、一体どんな扱いを受けるのか」 自嘲気味に笑う男。 「魔法が使えない。ただそれだけの理由さ。俺が望んだわけでもないのによ。俺も最初は憎かったさ。この能力が」 自嘲の裏から見える宿恨。 この男がどんな仕打ちを受けてきたのか。説明されなくても分かる。 「だが俺は気が付いた!この能力の素晴らしさに!!」 まるで芝居でもしているような大仰な振る舞いに男は変わる。 「この能力は最強だ!どんな魔法も俺には効かねぇ!ナイフが一本あれば、もう誰も俺を止められねぇ!!」 月を仰ぐように男は仰け反る。 「だから俺は行動に出た!今まで俺を馬鹿にしてきた奴らに!手始めにこの祭りをぶち壊した!俺が苦しんでる横で、浮かれて楽しんでる奴らへの制裁だよ!!ギャハハハハハハハッ!!」 地面に頭が付かんばかりに仰け反る男。月に向かっていかれた笑い声を飛ばす。 異様。 そうとしか形容出来ない。
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