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「水のエーテルを使えば浄化も可能。そういう話を聞いたことがある」
明仁は千歳を見た。
「水のエーテルを持つ者として、君はどう思うね?」
「えっと……。そうですね」
校長に見つめられて緊張がピークに達したのだろう。
若干声が震えていたが、それでも千歳は自分の意見をしっかりと口にした。
「可能……です。実際、発展途上国などでは水のエーテルを駆使して汚れた水を飲み水にした、という事例があります」
しかし、と千歳は付け加えた。
「それは容易なことではありません。バケツ一杯分の水を浄化するのに、大人が何十人単位で魔法を使わなければなりません。それこそ裏山の溜め池ぐらいとなれば……人が何人必要か、どれくらいの期間が掛かるのか。全く見当もつきません」
「そうか」
明仁が頷く。
「私は一応夏休み中も様子を見に行っていたんだが、何の変化もなかったよ。それこそ人なんて見たこともない。それが、昨日行ったら突然綺麗になっていた」
「それが……精霊の仕業であると」
稔が重々しい口を開いた。
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