90797人が本棚に入れています
本棚に追加
『あなたたち、誰?』
見た目は十二、三歳かそれくらい。実に可愛らしい少女の姿。目や、鼻や、口や、髪。それぞれのパーツも整っている。
しかしローブのような衣を纏った体は、透き通るような青色をしていた。
『あなたたち、誰?』
首を傾げてさらに訊く。
年相応の可愛らしい仕草も、これがやると異様としか言いようがない。
「人に名前を訊くなら、まずは自分から名乗るのが礼儀ってもんだろ」
決して友好的とはいえない上辺だけの笑顔で優一が言う。
『ああ。そっか』
一方、それはとても無邪気な微笑みを返し、空中に浮かぶ体を水面に近付ける。
何も履いていない足が水面に触れると、小さな波紋が広がった。その足は沈むことなく水面に留まり、まるでそこだけが固められたようになっている。
『私はウンディーネ。水の精霊なの。よろしくね』
水面に着地した水の精霊――ウンディーネは、教師に対面した小学生のような、行儀の良い礼をした。
最初のコメントを投稿しよう!