青く透き通る悪魔

14/59
前へ
/396ページ
次へ
優一の言う作戦とは、実に簡単なものだった。 風のエーテルを持つ操の魔法を使い、優一ら四人の周りに空気のヴェールを作り、水中に飛び込む。 あとは水中で直接ウンディーネを叩く。 「……それだけ?」 肝心のウンディーネを叩く部分が欠けている。 操が戸惑うのも無理はなかった。 「それだけって他に有効な手段が見つからない。お前は何か案があるのか?」 「いや……」 水中という舞台は、人間にとって大きなハンデである。 地上ほど身軽に動けるわけではないし、体力も奪われる。そして何より、呼吸が出来ない。 それらのハンデを少しでも軽減させるために、優一は風の魔法を使おうと言っているのだ。 頼りにされることは嬉しい。 しかし。 「大丈夫なの?」 一抹の不安が残る。 四人の人間を空気で包み込んで移動する。それは造作もないことだ。 問題なのは、戦力の欠如。 みんなを包み込み、移動などをさせながら攻撃にも参加する。そんな芸当、自分には出来ない。 「攻撃の一回や二回でくたばる程、俺は柔じゃない。適度に攻撃を加えながら、あっちの攻撃は吸収してやるよ」 だから心配するな。 優一は力強い眼差しで操を見た。 「他に方法がないんじゃ腹を括るしかないか。火のエーテルが水のエーテルにどれくらい通用するのか、試してやろうじゃねぇか」 水中は意味なさそうだけどな。 そう付け加えて稔は肩をすくめた。しかし、その顔には闘志が漲っている。 「私も出来るかぎりお手伝いします。太刀打ち出来るかは分からないけど」 千歳は自信がないようだが、彼女が誇れるぐらいの力を持っていることを、操は知っている。 「……ありがとう」 頼りになる仲間たち。 この人たちが後ろに居るなら、何もかも大丈夫。先の不安を吹き飛ばし、自信が湧いてくる程に心強い。 「私は攻撃に参加出来ないけど、みんなを守れるように頑張るから」 この自信がエーテルにも力を与えてくれますように。 操は三人を自分の周りに集めると、目を閉じて精神を集中させた。
/396ページ

最初のコメントを投稿しよう!

90797人が本棚に入れています
本棚に追加