青く透き通る悪魔

23/59
前へ
/396ページ
次へ
『あはは!なかなかしぶといじゃない!』 ウンディーネの声がこだまする。 『復活して早々、好敵手が現れたわね。あなた達を噛み砕くにはなかなか骨が折れそう!』 「やろうと思えばすぐ出来るのにな。気に入らねぇ」 稔が音を立てて歯を食い縛る。 水中でも自分の力が通じると思っていたが、それはとんだ奢りだった。水の精霊の前では、彼の力は悲しいまでに無力。 それがたまらなく悔しかった。 「……性悪ですね。最低です」 その気持ちは千歳も同じ。 水の中といえば彼女の独壇場。呼吸さえ出来れば、あとは何も心配しなくていい。 しかし現実はどうだ。ウンディーネの支配の前では全く歯が立たない。水が言うことを聞いてくれないのだ。 力になりたいのに、ただ足を引っ張っているだけ。 それが本当に堪らない。 「さて。どうしたものかね」 さっきまでの感情を押し殺し、優一は打開策を考える。戦いの場で大切なことは、とにかく冷静に考えること。感情任せの行動は墓穴を掘るだけだ。
/396ページ

最初のコメントを投稿しよう!

90797人が本棚に入れています
本棚に追加