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『なにをコソコソと話しているのかしら?』
遠くから響いてくるようなウンディーネの声。
『女の子二人を置いてくるなんて男気があるわね。格好いいじゃない!』
優一らのこと明らかに馬鹿にしている。その証拠に、さっきから魚たちが風の膜にわざとかすっている。軽く音を立てて過ぎていくその様は、いつでも攻撃が出来るのだと脅しをかけているような、またノコノコと乗り込んできて馬鹿ではないのかと挑発しているような、そんな気がした。
「早いとこ始めた方がよさそうだな」
「あぁ」
まだ何やら言っているウンディーネを無視して、二人は意識を集中させる。
己が身に宿るエーテルにゆっくりと呼び掛ける。内に秘めたる魔法の源は、主の呼び声に答えて目を覚ます。目覚めたエーテルは主の体を巡回し、発動の命を静かに待つ。
静けさが支配する空間。二人の息遣いだけが聞こえる。
『……?』
ウンディーネは突然黙りこくった二人に疑問を抱いた。恐怖のあまり言葉を発せなくなったのかと思ったが、どうやらそうではないらしい。
二人はただ、目を瞑って何かに集中しているようだった。
『なにをしているのかしら?』
魚をけしかけてみるが、全く反応を示さない。こちらのことをまるで相手にしていないようだ。
『気に喰わないわね――!?』
そこで気付いた。
二人のところに、恐ろしいまでのエーテルが集中している。二人の居る空間のみに留まらず、自分の支配する水中にまでエーテルが漏れだしていた。
本能的が警鐘を鳴らす。
それは、良くないことが起きる前兆。
『い、いきなさい!』
魚たちを二人の元に突進させたが、時既に遅かった。
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