青く透き通る悪魔

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「な、なにが起こったの……?」 操は呆然と立ち尽くしていた。 優一らが池に突入したあと、操は千歳と一緒に水中の様子を伺っていた。一体、二人は何をするつもりだったのかと。 水は透き通っていたから二人の姿はよく見えた。群れを成す魚の姿も、同じく。 魚が攻撃を仕掛けるのではないかという場面もあった。千歳が目を覆うほど際どい時もあった。 しかし、それでも水中の二人は動かなかった。 異変が起こったのはそれからすぐ。 水中に突如としてまばゆい炎の塊が現われたのだ。それは優一と稔が居る空間を包み込むような形で輝いていた。 水中で燃え上がる炎を見て、操は本能的に危機感を覚えた。それは千歳も同じ。 二人が顔を見合わせ、その場を離れようとした瞬間、それは起きた。 轟音と共に、湖面から巨大な水柱が発生したのだ。天を穿つ一本の槍のように伸びたそれは、伸び切ったと同時にスコールのような雨を降らせて消滅した。 湖畔にいた二人は当然その水を浴びたわけだが、そんなことを気にしている余裕はなかった。 「爆発……ですか……?」 心ここに在らずといった表情で千歳が呟く。 その水柱が立った後、池の水は随分と減っていた。にわかには信じられない事態。 たった一撃の爆発で、池の水が三分の一ほども持っていかれていた。 「まさか、二人が……?」 「……でしょうね」 ある種の恐怖のようなものを感じた二人は、そのままゆっくりと湖畔から離れる。 水中で一体何が起こっているのか。確認しようと思えば出来たはず。 しかし、二度と池の中を覗こうとは思わなかった。
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