青く透き通る悪魔

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「精霊の力ってのはやっぱりすごいな」 稔は感嘆の声を洩らした。 池の水は半分――いや、それ以上失われている。突入した時は見上げるほどだった水面が、今では頭上すぐそこまで来ているのだ。 空がどこか遠く感じるのは、今までは意識していなかった池の外壁が、切り立った崖のように視界に入ってくるからか。 たった二発の爆発。 しかも優一は自分たちの呼吸を確保するために、いくらか力をセーブしている。 力をセーブしていて、この有り様。 純粋なるエーテルの力は、どこか恐怖を覚えるほどに強力だった。 「さて、どう出る?」 見えない何かに問うように優一が呟く。 水は不気味なまでに穏やか。耳障りな声もなく、目障りな魚の姿もない。静寂だけが支配している。まるですべてに決着がついてしまったような雰囲気だ。 しかし、優一は感じていた。未だ水中を漂うエーテルの存在を。それはウンディーネがまだ生きているという証拠。 このままでは、終わらない。 「……お?」 やはりと言うべきか。 急にエーテルが集束を始めた。水中に薄く広がっていたエーテルが、ある一点を目指して移動している。 こちらの存在を恐れているのか、向かう先はここから一番離れた場所。 相手はこちらを恐れている。とどめを刺すなら、今が好機。 「稔、ちょっと移動するぞ」 友が答えるより早く、優一は風に移動を命じた。
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