少女の決意

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「着きました。ここですよ」 「ここ……か」 その店は商店街の奥の方にあった。 大きなショーウインドウの向こうには、ぬいぐるみが並べてある。三段組みの棚の上から下までびっしりと。 犬、猫、大きい熊、小さい熊。どこかで見たことあるようなキャラクターのぬいぐるみもある。 法則性があるわけでもなくただ無造作に並べてあるような雰囲気だが、不思議な一体感があるような気がした。 「なるほど。たしかに野郎には入りづらい店だ」 レトロな雰囲気の店だが、放つオーラが明らかに違う。薄いピンク色を基調とした外観も、どこか異質なものを感じさせる。 言うなればそう。 住む世界が違うのだ。 違う世界に殴り込みをかけるほど、優一は蛮勇を奮う気はない。 「ふふっ。相変わらず可愛い」 千歳はぬいぐるみの山を眺めていた。 見た目の幼さと相まって、その姿はまさに愛らしい女の子。まだまだぬいぐるみを手放せない夢見る少女のようだ。 「中にはもっと可愛いものがありますから、入ってみましょう」 少女の笑顔をそのままに、しかし口調はいつも通りで、千歳は優一を見た。 「いやまぁ……うん。とりあえず入ってみようか」 また意外な一面が見られたと、優一は気恥ずかしそうに鼻を掻くばかりだった。
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