少女の決意

15/28

90798人が本棚に入れています
本棚に追加
/396ページ
文房具にさしてこだわりなどを持っていない優一にとって、可愛らしいキャラクターが描かれていることが買う理由にはならない。 もちろんこれは感覚の問題。こだわりがある人間と、とりあえず使えればいいという人間の違いだ。 差し当たり、大したことではない。 目下優一が気にしていることといえば、千歳がどうしてここに来たのか、ということ。 「あ、これ可愛い」 そういって彼女はファンシーな文房具を手に取って見ている。 「こういうのって、見てるだけでも楽しいですよねぇ」 そう言って小物売り場に移動する。 楽しい、という気持ちに偽りはないだろう。千歳は本当に楽しそうな顔をしている。だが、こういうことがしたくてここに来たのかといえば、それは違うような気もする。 (言いにくいことなのかな?) もちろん、それに不満があるわけではない。 普段入れない場所に入れることや、普段見ることの出来ない友達の姿を見られることは、とても新鮮で楽しい。 しかしせっかく遊びに来たのだから、遠慮は不要だとも思う。 (もっとオープンに……ん?) そこでふと、彼女の手が止まっていることに気がついた。
/396ページ

最初のコメントを投稿しよう!

90798人が本棚に入れています
本棚に追加