少女の決意

26/28

90799人が本棚に入れています
本棚に追加
/396ページ
明くる月曜日。放課後。 優一は学園の屋上に来ていた。 今日は少しだけ、風が強い。 「ふう」 落下防止のフェンスに体を預ける。 軋むフェンスの音に耳を傾け、今日一日のことに思いを走らせた。 「変化はなし、か」 顔を合わせるのは気まずい、という気持ちがあった。 しかし、千歳はいつもと変わらず「おはようございます」と挨拶をしてくれた。 それで気が楽になったというか、気まずいという気持ちは消え失せてしまった。 そのあとも、操とも普通に接していた。本当にいつもと変わらない。 まったくもって普通。 「女の子って強いんだな」 そんなことを言っては失礼だろうか。 多分、ひどいことをしたと思う。でも、それでも素直に接してくれる彼女を、本当に強いと思った。 「よぅ!待たせたな」 鉄製のドアが重い音を立てて開き、稔が姿を現した。 今日、ここに来たのは他でもない。話があると稔に呼び出されたのだ。 「呼び出した奴が遅刻してたら世話ないぞ」 「仕方ねぇだろ。みみっちいこと言ってると嫌われるぜ?」 軽口を叩きながら歩いてくる稔もまた、いつもと変わらない姿。 「で、お前はどこまで知っている?」 稔が隣に来たのを見計らって、優一は口を開いた。 こんなところに呼び出した理由など、他に見当たることがない。 優一は単刀直入に訊いた。
/396ページ

最初のコメントを投稿しよう!

90799人が本棚に入れています
本棚に追加