焔の帝

6/49

90799人が本棚に入れています
本棚に追加
/396ページ
「私からの連絡はこんなところだ。質問意見文句要望、なんかあるか?」 風邪が流行り始めたから気を付けるように。 心配ならインフルエンザの予防注射を打っておくように。 ストーブの上に消しゴムを置く等、くだらない悪戯はやらないように。 ……などなど、連絡はとても事務的で特異のあるものではなかった。 故に質問はともかくとして、文句や要望などが出るわけがないのだが。 「よしよし。結構結構」 それでも明子は満足そうに頷いた。 「めっきり寒くなってきたから、体調管理には十分気を付けるように。あと学習室付近ではあんまり騒がないよーに。三年生は受験でピリピリしてるからな。フクロにされても文句は言えないぞ?」 魔法だけでなく、学力レベルも高いのが私立明神学園。志の高い生徒が多いのも当然と言えよう。 その荒波の中に、あと少しもすれば巻き込まれることになる。 生徒たちは、薄々感じたりしているのだろうか。 「ああそれと、塚越、桐生、立花、高橋の四名は、放課後私の研究室まで来るように。以上!」 細かい説明は一切抜き。 呼ばれた四人が質問をする暇もなく、明子はチャイムとともに意気揚々と教室を出ていった。
/396ページ

最初のコメントを投稿しよう!

90799人が本棚に入れています
本棚に追加