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「呼び出しだってよ。何だろうな?」
「補習じゃないか?前の実験はうまくいったと思ったんだけどなぁ」
「なんでよ?あなたや千歳はともかくとして、私と高橋君はないんじゃないの?」
「それはちょっとひどいです……」
ホームルームが終わり、また喧騒が教室内に広がる。
窓際の席に鎮座する四人もまた、色々と思案していた。
「意外と精霊絡みのことかもしれねぇな」
「まぁ……あの人なら何か知ってるかもしれないわね。お爺ちゃんは今日から出張で学園にはいないし」
「ただの掃除という線も。水野先生ならやりかねません」
要はどんなこともあり得るということ。
ここでいくら考えても、結局答えは分からないのだ。
「ま、放課後になれば分かるだろ。早く行こう。次はたしか数学のはずだ」
思案を停止させたのは優一。
皆もそれに従い、移動教室の準備を始めた。
「やっぱり水野先生の考えてるこたぁ分かんねぇな。毎度のことながら」
「ただの怠慢教師ってわけでもなさそうだしね。悔しいけど、とても優秀な先生だもの」
「すみません。前回の数学の宿題、ちゃんと答え出ましたか?いまいち分からなくて……」
そうして違う話を始める三人。優一はその輪に加わることはなかった。
「……」
頭の端に引っ掛かる、エーテルのくすぶる感覚。どうにも気味が悪い。
(嫌な予感、っていうのかな)
とにかく、心地よい感じはしない。
痒いところに手が届かないというか、小骨が喉の奥に引っ掛かっているというか。
いずれにせよ、今日は授業に集中出来そうもなかった。
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