焔の帝

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結果的に優一の予想は的中した。 一日中付きまとう嫌な感覚によって、彼の集中力は著しく阻害された。 当然授業を真面目に受ける余裕などなく、授業内容は全て右から左へ。 今日一日、優一は授業料を無駄にしたことになる。 良心的な学費設定である明神学園ではなかったら、途方もない自己嫌悪に陥っているところだ。 「森本先生には怒られたしね」 というのは操の言。 優一は古文の時間中、森本教諭に当てられたにも関わらずそれを無視してしまい、「冬休みが近いからって弛んでるな!!」と一喝されてしまったのだ。 「仕方ねぇって。森本先生は何も知らないんだから」 「そうですね。だからといって説明するわけにもいきませんし……」 稔と千歳のいうとおり、此度の精霊騒ぎへの対処はゲリラ的に行われている。 白日のもとに晒し、学園内をパニックに陥れてしまったら余計に厄介なことになる。 とすれば、優一らは尊い犠牲になったといえる。 「まぁ、俺のストレス指数と引き換えに学園の平和が保たれるなら……いや、やっぱりムカつくもんはムカつくな」 時は放課後。 薄暗くなった廊下を、四人は明子の待つ錬金学研究室に向かって歩いていた。 「ま、今日一日の不遇に見合う吉報なのを願うだけだな」 室内といえど暖房器具のない廊下は、底冷えするほどに寒い。
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