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土煙を切り裂いて進む操。
風を従えて突き進む彼女は高速でサラマンダーに近づいた。
その姿が見えているはずなのに、サラマンダーは一ミクロンも動こうとしない。落ち着き払った表情で操が突進してくる姿を見ていた。
「余裕こいてんじゃないわよ!」
ショルダータックルと同時に風を。
胸元で衝撃を受けたサラマンダーは地に足をつけたままずるずると後退。あれだけの衝撃を受けて足が浮かないのは驚きだが、そんなことに構っている暇はない。
地面にくっきりと二本の線を残しながら後退するサラマンダーの姿を、稔が追いかけた。
「喰らいやがれ!」
操が残した風に乗ってジャンプ。サラマンダーの顔面に足の裏を叩き込んだ。
(か、硬ぇ……)
顔面を的確に捉えたはずなのに、まるで分厚い鉄板を蹴りつけたような衝撃だった。
さらに、渾身の蹴りを叩きつけたにも関わらず、サラマンダーはびくともしなかった。両腕を横に垂らし、平然とそこに立っている。
背筋が凍るように寒いのは、外気の温度が低いだけではないだろう。
「でりゃあ!!」
自身を奮い立たせるように、稔は足の裏で爆発を起こした。
その爆風で稔は後ろに下がり、サラマンダーは受け身も取らず地面に仰向けに倒れた。
「はああああっ!!」
その姿に一つの影が突き刺さる。
土煙に乗じ、風のエーテルで空中高く舞い上がった優一が、弓矢のごとく降ってきたのだ。
重力を利用して体重の何倍にも膨れ上がった衝撃を、両足でもってサラマンダーの腹に叩き込む。
地面が大きくへこみ、ひびがいたるところに走る。
優一はさらなる衝撃を与えるべく、吸収したエーテルを最大限に注ぎ込んで爆発を起こそうとした。
「!?」
寸刻。
サラマンダーの手が、優一の足を掴んだ。
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