回顧

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「力の差は歴然としている。ただ痛い目に遭うだけだと思うけど?」 「うるせぇっ!!」 優一の言葉に青筋を立てて怒鳴り返すこの男。 どうやら威勢だけはいいようだ。 「俺たち三人が揃ったらどうなるかを教えてやるぜ!お前たち!!」 『へいっ!!』 リーダーの声に応えて両サイドの二人が間隔を取る。 「構え!」 三人が揃って右手を自身の胸元に持ってくる。 「魔法でも唱えようってのかしら?」 エーテル発現の準備をする操。 「さぁな。だが、クズがいくら集まったところで変わりゃしねぇさ」 稔も口では軽く言っているが、決して油断はしていない。 「うーん……」 優一は何やら難しそうに唸っている。 『破っ!!』 そんな三人の前で、チンピラたちは一斉に息を吐いた。 直後、それが合図だったかのように構えた右手の平に炎が灯った。 「ふふふ……。どうだっ!」 「……」 リーダーの言葉に優一らは答えない。 一様に呆気に取られているような、そんな表情をしている。 「どうした?恐くて声も出ないのか?」 チンピラたちは得意気に笑っている。 「……いや」 口火を切ったのは操だった。 「それだけ?」 『なっ!?』 大して驚いてもいないその反応に、三人のチンピラは皆同じように仰け反った。
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