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「正真正銘の炎だぞ!すごくあっちぃんだぞ!!」
ツンツンヘアーがまくしたてるが、大した効果は無さそうだ。
「だってねぇ……」
操が稔を見る。
「だってなぁ……」
稔が優一を見る。
「弱々しいんだよ。炎が」
優一はきっぱりと言い切った。
『なっ!?』
男たちはさらに仰け反った。
三人の手の平に灯っているのは、勢いはガスコンロの中火、サイズは野球ボールぐらいの炎。お世辞にも強い魔法とは言えない。
一般学生でもサイズはまだしも、もっと勢いのある炎を唱えられるはずだ。
魔法学ではエーテルの制御や発現の加減なども学ぶ。
エーテルの量には差があるが、練習次第では少ないエーテルで強力な魔法を唱えることが出来るようになる。
逆に使い方を知らないでいると、エーテルを十分に活用出来ず、エーテル消費のわりに威力が弱いといった無駄の多い魔法しか使えないのだ。
察するに、彼らはその授業すらもまともに受けていないのだろう。
さらに、彼らの目の前に居るのは、名門明神学園の生徒である。
どう考えても相手が悪い。
「お、俺たちの炎が弱いだと!?」
どうやらこの不良たちは、今まで自分たちが強いと思っていたらしい。
もっとも、彼らの仲間に魔法を使いこなせる者が居るのかどうかも疑問だが。
「いいこと教えてやるよ」
稔がひょいと躍り出る。
「俺たちに対抗したかったらなぁ……」
言いかけて、パチンと指を鳴らす。
途端――
「うわぁっ!!」
不良たちが盛大に尻餅をつく。
稔と彼らの間に炎の壁が現れたのだ。
鮮やかなオレンジ色のそれはたった一瞬で燃え尽きてしまったが、力を見せ付けるには十分だった。
エーテルの放出から規模の調整、発現。
その全てにおいて彼らを凌駕していた。
「せめてこれくらいの力を付けてからにしろや」
唖然としている三人を見下ろし、稔はニヤリと笑った。
彼はただ頭が良いだけではない。
炎魔法の使い手としても卓越した能力を持っているのだ。
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