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「魔法が使えないお前が、まさか明神学園に通っているとはねぇ」
チンピラ――加藤隆明(かとう たかあき)は目の前に居る優一を嘲るような口調で言った。
「どんだけ金を積んだんだ?」
「馬鹿言え。ちゃんと勉強して入ったに決まってるだろ?」
優一は隆明の発言を鼻で笑って反撃に出る。
「加藤君はどうしたの?昔の眼鏡インテリ君の断片も見られないけど?」
「う、うるせぇっ!」
痛い所を突かれた。
隆明はそんな表情になった。
優一はそれを見逃さない。
哀れむように目を細め、口の端で笑う。
「ま、大方高校受験に失敗したってところかな?で、やる気が無くなって落ちこぼれたと」
「黙れっ!!」
どうやら図星だったらしい。
見下している相手に見下され、隆明は激昂した。
「てめぇみてぇに魔法の一つも使えない奴に言われる筋合いはねぇっ!!」
「えっと……やっぱり知り合いなの?」
ただならぬ空気を打ち消すように操が訊く。
「小学校時代のクラスメートだよ。色々お世話になった、な」
操の方には顔を向けず、優一は隆明だけを見据える。
「……へっ。そんなに言うんだったら……」
隆明は右の拳を握り締める。
「昔みたいにお世話してやるぜぇっ!!」
言うなり握り締めた拳で殴り掛かってきた。
明らかに優一の顔面を狙ったものだ。
稔も操も咄嗟のことで助太刀が出来なかった。
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