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「せっかく嫁(予定)と姑(予定)が親睦を深めてるってのに、そーいう言い方はないんじゃねぇか?」
「ちょ、ちょっと高橋君!」
操があわあわと手を振っている。どうやら嫁という言葉に反応したらしい。
顔もみるみる赤くなってきた。
「べ、別に私はそんなつもりで言ったんじゃなくて!」
「まぁそうだろうな」
稔の手を振りほどきつつ、優一は平然と言い放った。
「多分俺じゃあ操を手懐けることは出来ない。もっと他に適任者が居るんじゃないか?」
まるで他人事だ。
冷や水を浴びせられたように、操の顔から赤みが取れていった。
「……そーですね。いつかいい人が見つかればいーですね」
代わりに怒りの色が滲み出てきた。
手懐けるとはどういうことだ。人をペットみたいに扱って。というか、もっと他に重要なことがあるじゃない。
そう言いたげな目で優一を睨み付ける。
「おっ?俺なんか変なこと言ったか?」
優一はきょとんとした顔で言った。
自覚とかそういうもの以前に、ひどいことを言ったという意識が無いらしい。
「はぁー……。お前って奴ぁ……」
どうしようもないと言うように稔は肩をすくめた。
「あらあら。若いっていいわねぇ」
綾香は愉快そうに笑っていた。
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