回顧

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テスト明けは様々な人間が居る。 点数が上がって喜ぶ者。 現状維持で納得する者。 頭を抱えて絶望する者。 因果応報。 自業自得。 阿鼻叫喚の地獄絵図。 そういったものをいち早く感じられる日、といっても過言ではないかも知れない。 「さて、今回の結果はどうかねぇ」 「下がってないといいわ」 「レベルが違うだろ。俺と二人とじゃ」 優一たちは廊下の掲示板に向かっていた。 明神学園ではテスト結果を学年ごとに廊下に掲示する。生徒同士の競争心を高めるためというのが主な目的だが、その効果がちゃんと発揮されているかは定かではない。 日は西に傾き、廊下を朱に染める。 掲示板の前に人の姿はなかった。昼間はごった返していたが、さすがに放課後ともなれば人もまばらだ。 「どれどれ」 「うーんと……」 「下から辿った方が早いと見た」 各々で貼り付けられたプリントを見る。 以下、結果は次の通り。 1位 桐生操 2位 高橋稔 ・ ・ ・ (中略) ・ ・ ・ 63位 塚越優一 「よかった。変わってない」 その結果に操はほっと胸を撫で下ろし、 「あちゃー。やっぱり桐生さんには勝てなかったかぁ」 稔は悔しそうに頭を掻き、 「200人中の63位ならあんまり悪い筈はないんだけど……。比較対象が優秀すぎる」 優一は難しい顔で腕を組んだ。
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