恋の掛け替え

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店が休みの夕方、気分転換に近所の公園を散歩していた。よいことも悪いこともない、変化に乏しい日常が心地よく、そしてどこか寂しく感じていた私は時々この公園を訪れる。 「トラちゃん、おいで」 顔なじみになったノラネコに勝手に名前をつけ、コンビニで買って来た餌を与えては、撫でさせて貰っている。 「飼えないんだろ。そのくせ中途半端に優しくするのって、すごく残酷なことだと思うよ」 背後から聞こえる、低いはりのある声に振り向く。 隼人だった。
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