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あの人の用意した部屋に移り住んだ私は、ただあの人を待つだけの暮らしを始めた。酒の肴を用意したり、繕いものをしたりして、しばしの夫婦ごっこに酔いしれた。
静かに時間が過ぎて行く中、愛と惰性のないまぜとなった逢瀬に何か渇いたものを感じはじめていた。そんな私の心の変化に気付いたのか、あの人が私に触れる回数も減った。
しかし、訪れの回数は減ることもなく、ケーキやらお菓子やらを持ってあの人は毎日のようにやって来る。
その度に甘いものの苦手な私は、おいしく食べているふりをする。
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