新たな痛み

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それからは毎日のように公園に行っては、トラと過ごすようななった。 「こんにちは! その子、お姉さんの猫?」 背後から、まだ少し幼さの残った声が聞こえた。 「違うわ、野良よ。私が勝手に名前つけて呼んでるだけよ」私は急に話しかけられたからか、戸惑いながら答えた。 「お姉さん、飼えないんだよね?」 人なつっこい笑顔を浮かべた青年は、イヤホンをはずしながら近付いてきた。 「飼えないのに、なつかせるのって残酷なのは分かってるわ」 急に大人びた表情をした彼は、その後すぐ人なつっこい笑顔に戻って、私をみつめた。 「そうかもしれないけど、その子は今しあわせだと思うよ! な、トラ」
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