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私が、そう言い捨てると、正は大粒の涙を落とした。
「俺は信じない。つや子は、つや子は…」
その後衣服を身につけた正は一言も言葉を発しなかった。何度も私を見つめたが、私はそっけない態度を通した。
彼が玄関を出るとき、激しく抱きしめられ、優しいくちづけをくれた。決心が崩れそうになったが、私は必死に堪えた。
「つや子、また来るよ…」
そう言って玄関が静かに閉まった瞬間、私はその場に座りこんで泣いた。
久しぶりに声を立てて泣いた。彼の存在がこんなにも大きくなっていたなんて。痛みすら感じなくなっていた私の心に、新たな痛みが刻みこまれていた。
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