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自ら捨てた幸せを、いつまでも捨て切れずに膝を抱える毎日が続いていた。
気晴らしに街に買い物に出てみると、袴を着た女の子達が笑いながら歩いているのをみつけた。
「卒業式ね…」
かじかむ手に息を吹き掛けながらひとりごちた。「今ごろ、正も卒業式かな… 卒業式のスーツは一緒に選ぶ約束をしてたっけ。卒業したらプロポーズするからって正言ってたわ。それを冗談にすると、正本気でふくれてた。ほんとはうれしかったのに、あまりに正が眩しすぎて素直に嬉しいって言えかった。それに正を失うことを考えてばかりで、正を愛することを恐れもしていた」
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