闇夜のともしび

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雪がちらついていた。冷えるはずだ。二人で見ればロマンチックな雪も、今の私には寒く冷たいものなだけ。 容赦なく風も吹き、芯まで冷えた髪が頬に不快に張り付く。 「邪魔だから切っちゃおうかしら」 正は私の長い髪が好きで、絶対に切るなと口を尖らせていた。 もう少しだけ伸ばしていよう。 私はコートの襟をたてて、早足で家路を急いだ。 家につくと熱いお茶を飲み、すぐにストーブを入れた。トラ達のために暖房を入れておいたが、それでも体は冷え、温まるまでは天然の暖房器具2匹を抱いていた。
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