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あてもなく探し続けた私は、大通りにやってきていた。
「にゃあ」
トラ次郎が走って来た。私に抱き抱えられたトラ次郎は悪びれもせず、喉をゴロゴロさせている。
「さて、あとはトラね!」
あたりをぐるぐると見回していると、前方からこちらを見つめ続けている人影と視線がぶつかった。
「正…」
愛しい人との再会に、私の目からは大粒の涙が零れ出していた。
「つや子…」
どちらも立ち尽くしたまま、見つめあっている。
正がかけよってくる。もしまだ私を愛してくれているなら、今度は素直になろうと都合のよいことをずっと考えていた。
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